不妊治療クリニックに通い始めて約半年が過ぎた頃、初めての人工授精で妊娠検査薬で陽性反応が出て喜んでいましたが、妊娠6週目でまさかの子宮外妊娠という結果に。
その時の入院となった日の流れについてお話ししたいと思います。
6週目に入ってもエコーに胎嚢が映らない→総合病院へ紹介状
早期妊娠検査薬で陽性反応が出た後、4週目後半に上の子を出産した産婦人科に少し早めの診察に行くと、胎嚢がまだ見えないということで、翌週に改めて診察を受けることに。
しかし翌週の5週目も胎嚢が見えず、「焦らなくて良いからまず受けている不妊治療クリニックで妊娠が確定してからおいで」とひとまず不妊治療クリニックで診断を受けてから来るように言われました。
その後、人工授精を受けた不妊治療クリニックで2回ほど診察を受けましたが、6週目に入っても胎嚢が見えず子宮外妊娠の可能性が高いとの診断。
すぐに紹介状と総合病院へ先生から予約を入れるので、その日中に総合病院へ行ってくださいとのことで受診した日の午後に向かうことになりました。
もしかしたらという思いも抱えてはいましたが急なことで私も若干パニックになり、クリニックを後にした後すぐに夫へ連絡し、まずは総合病院へ向かうことに。
ひとまず在宅ワークで使っているパソコンだけ持って5歳の息子と一緒に総合病院へ向かいました。
時間外受付後、救急エリアで診察
病院へ到着後、その日は土曜日ですでに通常の診察は終わっている時間帯だったため時間外受付へ。
しかし裏口を探すもなかなか見つからず・・・
病院の周りをウロウロしてようやく入口を見つけ窓口で受付を行いました。
すでに連絡が入っていたようで受付後すぐに救急のスペースへ案内され、当番で待機されていた産婦人科医師による診察を受けました。
すぐに診察しますとのことで、診察室のすぐ横のカーテン越しに内診台がありそこへ案内されました。
内診台の周りにたくさんのペットシーツのようなシートが敷かれていたので、「もしかしてこんなに出血するの?」と今から自分の身に何が起こるのか少し怖くなりました。
その後、当番の女医さんが入ってきて内診があり子宮内と卵巣の状態や胎嚢の位置を探す診察がありましたが、やはりモニターには何も映らない様子。
心配していた出血ですが診察中も出血はほとんどなく、看護師さんも「思ったより出血がなくて良かった」とおっしゃっていました。
子宮外妊娠の疑いとなると、診察中に多量に出血することもあるんだなと思いました。
荷物をまとめる一時帰宅もできず即入院
内診の後、診察室で先生から説明がありました。
ここでもおそらく子宮外妊娠であろうということで「すぐに入院していただきたいです。」と即入院の指示がありました。
もしかしたら即入院もあるかも?と何となく予想はしていましたが、本当に入院となると着替えも用意しておらず、自宅で息子の幼稚園の用意もしてないな、と色々とやっておきたいことが出てきました。
「もうここで入院になりますか?子どものこともやっておきたいのでいったん帰宅したいのですが」
と一時帰宅を申し出ましたが、先生からは「基本的には許可できません」と言われてしまいました。
子宮外妊娠は命に関わる状況であることを知りました
なぜ一時帰宅を許可できないのか?
先生によると子宮外妊娠の場合、6週目ごろでも卵管が破裂して大出血して救急搬送されることもあり、命にも関わることだと説明がありました。
卵管は一度出血すると大出血に繋がりやすく、命に関わることもあるのだそうです。
そのため「一度帰っても良いですか?」と聞いた私に先生は「何かあっても責任は負えません、搬送中に亡くなる方もいます。実際に○週間前にも同じようなことがありました。そういうことを了承された上であれば」とおっしゃる先生は語気を鎮めて真剣な表情で、何が起こってもおかしくない、命に関わる状態なのだ、とハッとさせられました。
先生からの強い言葉でここでようやく自分の状態を認識しました。
診断後は即入院が基本ということ
その日は「もしかしたらこのまま入院もあるかも」と思い、いつも在宅ワークに使っているパソコンだけ持って来ていましたが、本当に一時帰宅しないまま即入院となりました。
入院になっても荷物をまとめるための一時帰宅くらいはできるかも、と思っていたので深く考えず一時帰宅したいと申し出ましたが、子宮外妊娠は急に出血がひどくなって命に関わることもあるため基本的に一時帰宅はできないようです。
自己責任で一時帰宅を許可してもらえることもあるかもしれませんが、実際に急変して大量出血になることもあることを考えると、少し不便でも即入院の指示に従った方が良いと思いました。
なかなか予測することは難しいですが、もしかしたら?というときは下着やルームウェア、ある程度の身の回り品を持って行っておくと困らないと思います。
また、できるだけ歩き回らない方が良いことを考えると、受診する際はできたら車やタクシーなどできるだけ体に負担がかからない交通手段で病院へ向かうことをおすすめします。
その日は車で総合病院まで来ていたので、夕方、入院手続きのため病院に寄ってもらった夫に乗って帰ってもらいました。
出血が少なくても急変することもある
入院が決まったことで今後の段取りをどうしたら良いか考えながら、上のお兄ちゃんを連れていたので「少し売店に行っていいですか?」とスタッフの方に声をかけ売店へ飲み物やお菓子を買いに行きました。
売店で飲み物や絵本、お絵描きグッズなどを選んでいると時間がかかってしまい、戻るとしばらく戻ってこない私を看護師さんが心配して待っていました・・・。
「売店に行っている間に何か起こるかもしれないから心配しましたよ」と言われてしまい、ここでもいつ急変するか分からない状況なのだとさらに実感しました。
入院手続きのため夫を待つ間、入院に向けた各種検査へ
入院が決まったため、夕方の夫同席の入院説明を受けるまでの間に入院準備が始まりました。
入院しますと話が進むとすぐにお部屋の確定、点滴ルートの処置が行われ、その後各検査が行われました。
・入院するお部屋の確定
・手の甲に緊急の点滴を入れるための点滴ルートを装着する処置
・血液検査(感染症関連、各種基本項目、HCG値測定)
・レントゲン検査
入院するお部屋の確定
入院が決まるとまず初めに入院するお部屋の説明がありました。
お部屋は個室、大部屋とありますが、総合病院の産婦人科なのでいろんな事情の方が入院されていて赤ちゃんを同室される方もいるかもしれない、もし一緒のお部屋になると子宮外妊娠で赤ちゃんを諦めないといけない状況の自分には精神的に辛いかも、という思いがあり、夫とも話をし個室でいいんじゃないかということで個室に入ることにしました。
退院後に明細を見てみると差額ベッド代は1日1万円程度だったと思います。
点滴ルートの処置
点滴ルートの処置では、手の甲に緊急時に点滴を入れるための針とキャップが取り付けられるのですが、その様子を隣でじっと見つめていた5歳の息子は「何で針を刺してるの?」「痛い?」と疑問がいろいろ湧いている様子でした。
入院するとそんな可愛らしい姿もしばらく見れなくなるのかと少しずつ寂しさが込み上げてきました。
点滴ルートは基本的に入院中はずっとつけたままになるようで、退院が決まる時までずっとつけっぱなしでした。
少し手に力を入れると血管に圧がかかり針が抜けてしまいそうな感覚があり、少し不便さを感じましたが、緊急時のために付けるものなので一時的に外してもらうこともできません。
入浴時もつけたままなので、うまく付き合っていくしかない状況の中、手に力を入れすぎないように過ごしているうちに徐々に慣れていきました。
血液検査、レントゲン検査
点滴ルートの処置の後、夕方夫が到着するまでの時間に入院に関連した血液検査、レントゲン検査がありました。
ここでは血液検査の基本項目とHCG値の測定もあり、入院段階でのHCG値は2500程度ありました。
2500もあるということはやはりどこかに着床しているはずなのですが、入院中の診察でも毎回先生が超音波検査で探している様子でしたが胎嚢らしきものは見当たらず・・・
結局退院まで胎嚢は見つけることができず、着床している場所を特定することはできませんでした。
レントゲン検査は、一応妊娠中のためお腹にプロテクターをあてて検査が行われました。
夫を待つ間、息子と離れる寂しさの時間
入院のお部屋の確定と各種入院前検査が終わった後は夫同席で入院の説明と同意書の署名など手続きを行うため、夫の仕事が終わる時間まで病院で待機することに。
診療時間が終わった薄暗いロビーで看護師さんと息子と3人で夫を待っていました。
息子が幼稚園の年長さんになる前の3月だったので、まだ幼い子どもと長い時間離れる実感が少しずつ湧いてきて、心配と寂しさで胸が締め付けられるような切ない気持ちになりました。
しばらく離れても大丈夫か、コロナ禍で面会もできないので会えない寂しさが込み上げ、看護師さんとお絵描きをしている息子の横で涙が溢れました。
「お母さんなんで泣いてるの?」と言う息子に「会えなくなるから大丈夫かなって心配で、次いつ会えるか分からないから寂しくてね」と思いが溢れました。
当の息子は、夫の実家にしばらくお世話になるためその後電車でおばあちゃんちに行けるととても嬉しそうにしていました・・・
「早く電車でおばあちゃんち行きたいなー」と嬉しそうに話す息子を見て、会えない寂しさよりもそっちかーという複雑な思いもありましたが、子どもにはどんな状況か分からないものだよなと子どもの明るさに救われる気持ちもありました。
夫同席で入院手続き後、入院
夕方5時ごろ、仕事先から病院に到着した夫、「大変なことになったなぁ」と驚いていましたが、命の危険があったことを考えると何事もなくて良かったと驚きつつも落ち着いて対応していました。
医師から状態の説明、入院後の予定、同意書の説明と署名と必要な手続きを行い、手続きを終えた後、夫と息子は乗ってきた車に向かい、私は病室へ案内されました。
エレベーターで「お母さんはここまでね」と言われ、いよいよ離れるのかと寂しさがピークに。
扉が閉じるまで息子に手を振り「おりこうにしててね」と言う私に「うん、大丈夫!行ってきまーす」とワクワクしている様子の息子。
寂しいと涙を流しているよりは楽しそうに帰っていく姿の方が良かったかな、と少し複雑な気持ちで見送り病室へと向かいました。
入院中の生活
1人で過ごす病室は寂しく、入院もいつまでになるのかはっきりしなかったため、毎日テレビ電話で息子と話をしていました。
毎朝6時ごろに看護師さんが採血に来られ、「おはようございまーす」とカーテンを開けて声をかけてくださります。
ウトウトと寝ぼけながら採血を受けます。
看護師さんもいろんな方がいて、不妊治療を受けた経験がある方は「卵子凍結もやっておいた方がいいよ、私も後悔したから」とアドバイスしてくださった方もいました。
こういった話はお互いが不妊治療をしていると分からないとなかなか話すことがないことですが、不妊治療を受けていろんな思いを抱えている方はたくさんいるんだろうなと感じました。
採血の後、朝7時ごろに朝食があり10時ごろから順番に内診室で診察を受けます。
2日に1回入浴ができ、シャワーのある日は午前中に入浴を済ませます。
その他は特に指示がなければ自室で過ごしたり、売店にお買い物に行ったり自由に過ごすことができました。
結局、入院は5日間で済みましたが、早い段階で転院し対処できたことで入院も長くならずに済んだかなと思います。
妊娠が分かった時、早い段階で受診することをためらう気持ちもありましたが、子宮外妊娠の経過を経た今、早い時期から診察を受けておいてよかったと思います。